ペレゼフォネ

ペレゼフォネ(Pelezephone) マルヤクデ♀

「WAの事でしたら、多少は心得がございます。きっとスヴェル陛下のお力にもなれるかと」
「あらあらあら、元気なお腹の音だこと。ヘシェトさん、そろそろお昼にしませんか? そろそろ子ども達のお腹が大合唱を始めてしまいそう」
「わたくしにも娘がいたの。生きていたら貴女と同じくらいかしら。だからフレゲーラちゃんにお母さんみたいと言われると、ふふ、なんだか不思議な気持ちになってしまうわね」

慎重(ちょっぴり見栄っ張り) キョダイマックス
年齢 / 40代後半
身長 / 167㎝
一人称 / わたくし
他称 / あなた、おまえ

WAを渡り歩いていた盾パの前にふらりと現れたミステリアスな女性。
とある件で盾パに助太刀に入ったのを機に、半ば強引について来た。
WAに詳しいようで、マフィアを名乗り、各エリアを仕切っているという適合者の者達とも親しげな様子を見せる。
臙脂の髪は、常にゆらゆらと燃えているが、触れても熱くなく、水に触れても揺らめきが消えることは無い。
まさに盾パとの出会いが鏡池の水上であるが、炎タイプにも関わらず、巣穴に落ちそうになったフレゲーラを平然と引っ張りあげ、その巣穴の個体をいとも簡単に退けた。

あまり自分の事は語らないものの、時たま垣間見える強さと鋭さを除けば、献身的で子供が好きな柔和な女性という印象を受ける。
スヴェルの活動を手伝ったり、幼い個体の面倒を進んで見ており、彼女を慕う者もいれば、相談相手として頼りにする者も少なくない。
唯一、助けて貰ったことをキッカケに懐いたフレゲーラに「娘がいたこともある」と明かしているが、その言葉が過去形である事から、彼女の気質の理由とその過去が窺える。

彼女の正体

「わたくしの愛しい子ども達。貴方たちの献身に感謝します。私一人では、この大役は務まりませんから」
「メテオラのボスではなくペレゼと呼んでくださいな。ごめんなさいね、その呼称は周囲を威圧してしまうから、必要なときだけでお願いします」
「WAはヒトと獣、両方の場所です。だからこそ、”自由”であるべきですが、”無法地帯”であってはならない。わたくしは権力を振りかざすつもりはありません。ただ、ここに住まう者達が健やかであれ、と。そう願っています」
「もしわたくしが見つからなければ、カリストに指示を仰いでください。彼女の方が長くここにいるから、きっと悪いようにはしないわ」
「あの男だけは、絶対に赦さない……!生かしてなどおくものか……ッ!」

その正体は、獣の領域WAを統治するマフィア、メテオラのボス。
何かこだわりがあるようで、幹部達には「マム」と呼ばせており、ボスと呼ぶと子供のように膨れるとか。
滅多にメテオラとしての姿は見せないが、盾の王を連れている盾パ達に手を貸すようにと、各エリアの適合者、つまり幹部達に指示を出している。
彼女自身はあまり立場を振りかざすのを好まず、名乗る時も「ただのお節介な女」という。
ほとんどを幹部たちに任せ、自らエリアを見て回っており、盾パを助けたのはその最中と本当に偶然で、無理やりにでも彼らと関わりを持ったのは、地方の王であるスヴェルの存在が大きい。
マフィアを名乗るにしては、活動は自治が中心であるのも彼女の基質が理由であり、居場所を無くした者達へ手を差し伸べる事も少なくない。

上記のように温厚な女性であるが、マフィアのボスという肩書きは決してお飾りなどではない。
敵とみなした存在に容赦はなく、目的の為には手段を選ばない残虐な1面も持つ。
そんな彼女に幹部達は様々な理由で忠誠を尽くしているが、その幹部達にも全ては語っておらず、特に時折誰かを探すような素振りを見せるが、その事に関しては沈黙を貫いている。

その炎が絶えぬ理由

元々、メテオラは彼女の夫が率いる組織だった。
当時ボスだった男に見初められたペレゼフォネは、最初はマフィアを名乗る夫がおそろしかったが、王の不在のなかエリアを護る事に誇りを持っている彼に段々と惹かれていき、やがて、娘にも恵まれた。
幸せなさなか、選ばれし者を名乗る、地方を揺るがさんとする存在が現れた。
その男を止めるべく立ち向かった夫は、壮絶な戦いの末、その命と引き換えに男を退けた。しかし、その戦いに耐えられずに裂けた大地に、ペレゼフォネと幼い娘も巻き込まれてしまった。
何とか這い出たペレゼフォネは、必死に娘を探したが、娘は亡骸すらも見つからず、彼女は事実上、最愛の夫と娘を同時に亡くすこととなった。
あげく、元凶の男が逃げ延びたことを知る。
「赦さない。私の家族を奪った男を、赦さない」
彼女はマフィアを引き継ぎ、「二度と同じ思いをするものが出ないように」と言葉を変え、広大なエリアを統治しながら、逃げ延びた男を探す。

そして、その男が教団を名乗る組織を形成し、地方全土に影響を齎した事を知り、同時に王が目覚めた事を知った彼女は決意する。
どんな手を使ってでも、他人を利用してでも、王よりも早くあの男を見つけ出さねばと。
そして、どんな手段を用いてでも、自らの手で仇を討つのだ、と。