スコルロープ(Skollrope) ルガルガン♂(真昼)
「スコルロープと申します。スコルで構いません」
「俺は野生のポケモンですけど、ちゃんとした巡査でもありますから、何かあれば気軽に頼ってくださいね!」
「俺を連れていってくれ、弟を探さないといけない。お前からあの場所に残っていた匂いと同じ匂いがするんだ。──だから、これは取引だ、”セイレーン”。この場で捕縛されるか、協力するか、今すぐ選べ」
いじっぱり(からだがじょうぶ)
年齢 / 29歳
身長 / 182
一人称 / 俺
他称 / あなた、君
フィンリールという少年の兄。テンカラットヒルの群れの一つの代表でもある。
ニンゲンの警察組織に属し、野生でありながらメレメレ島の巡査の一員として働いている。
温厚で、困っている人は放っておけないタイプ。やれやれ顔の似合うお人好し。損な役回りも進んで引き受ける尽くし型。
通常、ヒト型をとる彼らは、獣の部位を残さないことが多いが、彼がそうしないのは「僕はポケモンですよ、ヒトではありません」という意志表示。
メレメレ島で警察として働くことで自分達の生活圏も良いものにできたらと思っているが、異種族であることは隠さないでおきたいという彼なりの姿勢。
そうした人柄が、優しい青年だと島のニンゲンにも好かれているが、その影でテンカラットヒルに特異体質の弟を監禁し「お前は自由になってはならないから、ここで兄がずっと面倒を見てあげよう」と歪んだ愛情を向けていた。
現在弟は連れ出される形で逃げ出しており、大事な弟を連れ出した怨敵と弟の行方を「誘拐された弟を探している」ていで追っている。
物理的な虐待を行っていたわけではなく「心から愛情を注いでいる」つもりで、精神的苦痛を与えていた事も判っておらず、非人道的な行いは監禁だけとしか思っていない。
その為、どちらが表や裏というタイプでもなく、どちらも彼の本当の姿。弟の前でのみ豹変する、自覚のない一番厄介なタイプ。
弟が消えた後、連れ去った者と弟を必死に探しており、その為にシュトヴカを半ば脅す形で、星の子の旅に同行する。
弟である少年は現在ハティロルフという名を授かり進化を遂げているが、スコルロープはそれを知らない。
また、シュトヴカを通じてスコルロープの動きを認知しているツィラメイヤによって、徹底的にハティロルフとの接触は妨害されている模様。
本来のスコルロープと、未来の話
「フィンリール……一体どこに連れていかれた…?兄ちゃんが必ず見つけ出してやるからな…。お前の居場所は、兄ちゃんの庇護下のテンカラットヒルだけなんだから……出ていくなんて許されないぞ……?」
彼の弟に対する顔は、元々弟を大切に思う感情が歪んだもの。
年の離れた弟を、スコルロープはそれはそれは小さな頃から大切に、親の代わりに愛情を注いできた。
連れ出される前の弟は、月の満ち欠けで狂暴化する病の持ち主だった。その為、周囲からは遠巻きにされ、恐ろしさから死ぬことすら望まれていた。
弟を守らなければ。この子に他者を傷つけさせたくない。その為には外に出してはならない。可愛い弟、自分しかこの子を守れる者はいないのだ。
その思いが、段々と形を歪ませ、いつしか弟に呪いの言葉を紡ぎ、閉じ込めようとする兄ができあがった。
本来は心配性なだけの優しい兄で、鎖でつないでいたのも、月明かりすら届かぬ場所に閉じ込めたのも、失いたくない、暴れることで怪我をさせたくない一心からだった。
紆余曲折の末、その歪みは解消され、弟と和解できるのは星の子の旅を完遂した後になる。
誘拐犯と思っていた青年は、歪んでいたスコルロープの代わりに、弟にとって第二の親代わりのような存在となっていた。
このまま青年と旅を続けたいと望む弟を青年に託し、時折連絡を取る程度で見守るようになる。
それは弟の為と生きていたスコルロープにとって、ぽっかりと穴が開いたような心地ではあったが、弟の幸せを願う兄は、見違えるようにしゃんと伸びたその背を、笑顔で見送ることができたようだ。
──「いってらっしゃい、ハティロルフ」
「ごめんなハティ、兄ちゃん今までのこと、一生かけて償うから」